元通りになんてできない
微調整+動揺


ほぼ昼前…。
目が覚めて慌てた。…なんて事だろう。私は…ここへ来た時はそうでもないって態度でいたはずなのに。

欠伸を噛み殺しながら、二人一緒に階段を降りて来たところをお母さんと出くわした。
何だかとても気不味い。
こんな時、年上という事で責任の多くが私にあるような気がしたから…。…恥ずかしい。


「あら、仲良くなったのね?良かったわ〜」

仲良く…。それはまさしくお母さん達が望んだ既成事実なのかもしれない。でもちょっと展開が早過ぎるのでは。自己責任の領域なのよ。理性の問題なのよ。…したからって必ず結婚するとは…限らない。
でもそれを大いに期待されてるからこそ、大胆に言われても、事実は事実だから返す言葉も無かった。

ゆっくり起きて来たので、お父さんは出掛けた後だった。

「猛、あなた達、何時まで居られるの?」

「んー、明日、仕事だから、早めには帰っておきたいけど、なんで?」

「帰るなら、お父さんが会いたいかなと思ってね。あなたもあまり帰らないし、薫さんにも会っておきたいだろうけど」

「親父は何時に帰る予定なの?」

「それがね、駄目ね。今日は飲みもあるらしいから、帰る時間はよく解らないのよ」

「じゃあ、会えなくても仕方ないよな。まあ、また帰って来るよ」

「そうね。ご飯、食べなさい。
薫さん、お願いしていい?温めたりして、ね?好きに食べてちょうだい」

「…すみません、有難うございます」

呑気に起きて来て…だらしないよね、こんな感じ…。はぁぁ。

「私はお隣りさんに行って来るから、じゃあよろしくね」

お母さんは仲良しのお隣りさんちで趣味の絵手紙を作るらしい。

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