コールセンターの恋愛事情
社会人になって、2年目の春を迎えた。

この桜並木で道に迷って、もう1年が経ったのか。

そんな懐かしい出来事を振り返っていたら、
「今年はあんまり新入社員がこなかったな」

辻本さんはやれやれと息を吐いた。

「まあ、事件が事件だからな。

『名取商事』のレッテルはまだ貼られたままだし」

内場さんが同意をするように言った。

「仕方ないですよね」

わたしは彼らに答えると、空を見あげた。

雲1つない青空をバックに、桜の花びらが飛んでいる。

「今年度ものんびりと過ごさせてもらいますか」

辻本さんはうーんと背伸びをした。
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