コールセンターの恋愛事情
辻本さんの手元にあるスマートフォンを覗き込むと、画面にはこう書いてあった。

『すまん、デジカメをサンプルのヤツと渡し間違えた

電源が入らなくてビックリしたやろ？』

「はい…？」

「えっ、サンプルだったの…？」

わたしと内場さんは顔を見あわせた。

内場さんはデジカメを取り出すと、
「道理で入らない訳だ…」
と、呟いた。

「それから、『安心してください、費用は負担しますよ』だってさ」

辻本さんが言った。

「別にそこはどうでもいいけどな」

「気にしていませんしね」

わたしと内場さんは顔を見あわせると、苦笑いをした。

そう言う訳で、真夏の心霊騒動は何とも呆気ない結末で終わったのだった。
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