竜宮の御使い
2
人の気配で覚めた時、そこはまた真っ白な空間で「また夢?」と思った。
 でも、白い天井、白い壁が順番に目に入り夢ではない事を知った。近くにある大きな窓からは柔らかな日差しが差し込み、寝ているベッドのシーツを照らしている。
 白を基調としているせいか、部屋はとても明るくて、遠くで水の流れる音が聞こえていた。
 どうやら、ここはどこかの部屋らしい。病院かな?とも考えたがそれにしては部屋の内装が些か豪華だった。掘られたレリーフや天井の明りとりの窓枠…素人の私でも全てが一目で格式高いものだとわかる。
 私はゆっくりと身体を起こす。どれくらい寝ていたのだろうか…。

 「目が覚めたのか?」

 不意に右手が強く握られその先を見ると藍色の髪の男が私の右手を持ち、ベッドサイドに座っていた。そして左手の先を見ると銀髪の男が私の左手を持ちベッドサイドに腰かけ心配そうに私を覗き込んでいる。

「どこか痛む様な所はありませんか?」

「…。」

 思わず私は絶句してしまった。イケメンツインズ…まさか、ずっとここに居てくれたの?…あのまま意識を手放した私をここまで運んでくれた?

「…ご迷惑を…おかけしました。すいません…。」

小さく謝罪をすると二人の美丈夫はふわりと微笑む。

「何も謝る事はありません。」

「謝罪はいらぬ。そなたが無事で有ればそれでいい。」

 花が飛んでる!思わず錯覚してしまいそうなくらい眩しい笑顔に私は眼をそらした。

二人とも全く同じ顔で全く同じ声。姿形は髪の色以外全く同じだと思っていたが。切れ長の目のすぐ下、泣き黒子の位置が銀髪の人は左で藍色の髪の人は右。とよく見ればきちんと特徴がある。それに、二人の纏う雰囲気というかオーラが全く違う。
ちらちらと二人を視ていた私の頬にフッと大きな手が触れた。少し冷たい指先がほてった頬に心地いい…。思わず頬をすりよせてしまいそうになるのをこらえ、見上げた先には銀髪と紫の瞳。

「いかがしました?」

「い、いえ!あの、その…何でもありません…!!」

ボッと顔に熱が集まるのが解る。うわー!絶対今顔が真っ赤だよ!!どうしよう。
顔を抑えられ目をそらすことすらできない私は次いで伸びてきた大きな手によって顔の向きを変えられた。

「シオンばかり見るな。私も見ろ。」

 いささか強引に反対側を向かされ、今度は藍色の髪と紫の瞳にとらわれる。

「…。」

何これ…。この場面展開ヤバすぎるでしょう?!もう何年も恋愛すらしていない私にとって、毎夜読みふけっていたライトノベルやちょっと人様には言えない様な○○の内容の書籍にも無かってけど!!
 …ああ、あの本棚は家族の誰かの目に触れてしまったのだろうか?どうせならプライベートで一番デリケートな性へ(ゲフン)の部分だから誰の目にも触れることなく処分して置きたかった。

 「「愛しい人。我ら(私たち)と一緒に居るのに何を考えている(のですか)?」」

紫の双眸が些か不機嫌そうに揺れゆっくりと両頬から手が離れて行く。
 私は慌て思考を戻し紫の双眸を見つめ返す。…不機嫌そうな顔すらイケメンだなんて犯罪だよ。なんだかそれがおかしくて二ヤリと頬が緩んでしまった。

「あなたの笑顔はとても美しく可愛らしい。」

「そなたをずっと見ていたい。もっと他の表情も…様々な仕草も我らを惹きつけてやまない。」

あきらかに私はニヤリと微笑んだはずなのにツインズの瞳には超高性能の修正機能が付いているのらしい。
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