それでも君が必要だ
本当は先にお風呂に入って寝てしまいたいけれど、父は一番風呂じゃないとダメだし、先に入ったことがバレたら酷い目に遭う。
……仕方ないから、掃除でもしよう。
私は料理はできないけれど、掃除は得意。綺麗になるとスッキリするし、掃除をしていると無になれる気がするから。
隅々まで掃除機をかけて拭き掃除をし、乾拭きまで終えた頃、父は日付の変わる手前に酔っぱらって帰ってきた。
父は飲んで食べて、どんなに帰りが遅くなっても夕食を食べる。食べるとなると私も一緒に食べなければならない。
私としてはそんな遅い時間の食事に巻き込まないでほしいんだけど。
帰って来た父のコートを受け取り、水の入ったコップを出し、急いでお惣菜を温めて並べる。
並んだ夕食を見て、父がドカッと椅子に座って食べ始めたから、私も席について一緒に食べ始めた。
しばらく静かに様子を見ながら食べていると、父は突然大きな声を出した。
「明日はシジマの息子と出かけるんだろう?それならあのスカートでも穿いて行け」
「え?」
あのスカートって……。
もしかして、あの短いスカートのこと?
元々短いスカートではなかったけれど、前の婚約者と会う直前になって「もっと短いのを穿いて行け!」と父の逆鱗に触れ、ハサミで裾を切られて短くされてしまった。
お気に入りだったのに、父が勢いで切ったから切り口がギザギザになってしまい、隠れて泣きながら切り口をきれいに揃えて細工しただけのスカート。
あんな短いスカート、スタイルが良くて可愛い女の子が穿くなら良いのかもしれないけれど、私が穿くと下品になる。全然似合わない。
そもそも、あのスカートのこと自体思い出したくもなかった。
捨てたことにしたい……。けれどそんなことをしたら他のスカートを切られることになるだろう。
父はフンッと鼻を鳴らした。
「わかったな!」
「はい」
無理だけれど、返事だけは即答する。
どうしよう……。
なんとかしなければ。