それでも君が必要だ

「社長さんにお会いできるなんて楽しみです」

「そう?良かった」

そんな会話をしつつ、なんとかうまく食事を終えたら最後にデザートが運ばれてきた。

はあ……、一難去ってまた一難。
でも、このデザートさえ乗り越えれば食事も終わる。
あと一息。

そんな私の緊張とは裏腹に、テーブルに並べられたデザートはカラフルな可愛らしい盛り付け。思わず見入ってしまう。

ふと、デザートスプーンを持った智史さんが嬉しそうな顔をしたように見えたから私が首を傾げると、智史さんはニコッと笑った。

「俺、甘いものに目がないんだ。これ言うとイメージ崩れるって言われるんだけどさ」

「そうなんですか?」

「うん。でも、誰に何と思われようと、好きなものは好きなのさ!」

そう言って智史さんは嬉しそうにデザートを口に運んだ。私も急いで食べ始める。

パクッと一口食べてふふっと笑う智史さん。
なんだかとっても幸せそう。

「このアイス、超うまい!……あ、そういえばさ、この間あげたキャラメル、食べてくれた?」

あ!……あのキャラメル。

「いえ……」

私が小さく答えると智史さんは寂しそうな顔をした。

「甘いものは嫌いかな?」

「そ、そういうわけでは……。なんていうか、もったいなくて」

「もったいない?それなら箱ごとあげればよかったかな?」

「い、いえ。……そうじゃなくて、お守り、みたいな感じで持っていたから……」

「……」

動きを止めて黙ってしまった智史さんを見て不安になる。せっかくもらったのに、食べなかったから機嫌を損ねてしまった?

急いでバッグの中からハンカチに包んだキャラメルを取り出した。

智史さんにもらったあの時から、あの優しい瞳が忘れられなくて、ずっとこのキャラメルを手元に置いていた。
このキャラメルを持っているだけで胸が温かくなった。

でも智史さんはじっと黙ったまま。

そうですよね?
私、おかしいですよね?
キャラメルをお守りだなんて、気持ち悪いですよね?
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