それでも君が必要だ

「どうしたの?そんなに見られると食べにくいなあ」

「あ、えっと、すみません」

「謝らなくていいんだけどさ、やっぱり違和感あるんだよねえ」

「……」

智史さん、今回は最初から『違和感』と言ってくれたけれど、それはやっぱり私が気持ち悪いっていうことですよね?

どうして私、気持ち悪いなんて思われてしまうんだろう……。

「まあ、いいや。ごめんごめん、気にしないで」

また智史さんが食べ始めたから私も食事を進める。そんな私を智史さんはチラッと見た。

「あのさ、デート気分じゃなくなっちゃうかもしれないんだけど、これから俺んち来る?」

「?」

智史さんのご自宅に行くということですか?
それは、どういうことですか?

意味がわからず首を傾げると、智史さんは焦ったように言い換えた。

「ああ、いや!俺んちっていうか、工場!俺んち、自宅と工場が一緒になってるんだ」

「はあ」

「まあ、動物園のパンダよりも俺に興味を持ってほしいからさ。俺のことを知ってもらうには工場見てもらっちゃった方が早いかなー、なんて思って。工場に来たら俺が夢中になってるものを見せてあげる!ほんっと、つまんないデートで申し訳ないけど」

「いえ……。そんなことはありません」

智史さんが夢中になっているもの?
……なんだろう。

初めて会った時に柴田専務が「親子揃って好きなことにのめり込んでる」って言っていたけれど、そのこと?

工場を見せたいなんて、仕事熱心っていうことなのかな?

「ちなみに工場に行けば親父もいると思うよ?」

「そうなんですか?」

「うん。俺も人のこと言えないけど、うちの親父は本物の研究バカだから」

研究バカ?

それにしても、智史さんのお父さん、つまり社長さんは本当に優しい人だった。また会えるなんて嬉しい。
あの優しいお父さんの息子だからきっと智史さんも優しいんですね?
< 69 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop