美人はツラいよ
「…い、今やろうと思ってたところです。ちょうど他の仕事が今片づいて。」
グロスたっぷりの艶やかな唇を動かして言い訳をしてみても、彼女のノートパソコンの画面はスクリーンセーバーが作動している。先ほどから彼女がお喋り以外の業務をしていないことはバレバレだ。
「もうすぐお昼だよ。三時までに間に合う?」
「…すいません、無理かもしれません。」
「じゃあ、半分もらうね。早く終わらせちゃおう。」
俯く彼女の手から未処理の伝票を半分もらう。
正直、今日は自分の仕事で手一杯だが、時間ギリギリにお手上げされるよりはよっぽどマシだ。
こうして、正常なオフィスのあるべき姿が取り戻された…かに見えたが、私の左隣に座っていた男が黙ってはいなかった。