美人はツラいよ
「何でかな…あまりに真剣な告白にびっくりしたから?」
涙でぼやける視界に、松田君の顔が入る。
ようやく目を合わせた彼は、にやりと嬉しそうに笑っていた。
「また、無茶苦茶ですね。嬉しいなら、ちゃんとそう言って下さい。」
そうか、嬉しいのか。
涙とともにあふれ出るこの感情が何なのか、戸惑っていたら、驚くほどしっくりとくる言葉を彼が口にした。
「まいったな、このくらいは許して下さいよ。」
彼は苦笑いしながら、私をそっと抱き寄せた。
顔を押しつけた場所から彼の鼓動が伝わってくる。
ドクドクと激しく刻むリズムが、私の心臓のそれと重なる。
ああ、ダメだ。
私、今、人生で一番ドキドキしてるかもしれない。
完全に松田君に“落とされて”いる自分に気が付く。
恥ずかしくておそらく真っ赤になっている顔をあげられない私の髪に、松田君はそっと言葉を落とした。
「萱島さん、ダメ元で聞きます。」
「うん。」
「怒らないで下さいよ。」
「うん。」
「キスしてもいいですか。」
慌てて顔を上げた私に、松田君は至近距離から微笑んだ。
「その顔は、イエスとみなします。」
「へ?」
その瞬間、彼が唇を重ねてきた。
軽く触れるだけのキスから、何度か啄むようにキスを繰り返す。
やがて、唇同士が離れるのを拒むように、長く深く重なりあった。
普段の爽やかオーラからは想像できないほど、いやらしく舌を絡ませてくるキスに必死に応えると、彼はキスをしながら嬉しそうにに笑った。