美人はツラいよ
その時。
カサリと何かがベッドの上に落ちた。
その物体を松田君が拾い上げる。
私の頭はすでにぼうっとしていて、それが何なのか考えることも放棄していた。
「萱島さん、用意が良すぎです。」
四角いビニールのパッケージに包まれたソレを拾い上げて、松田君は笑いを堪えているようだった。
目の前に掲げられたソレを見た瞬間、私の頭は瞬時に現実へと引き戻された。
「あっ、えっと、それは…」
何と説明したらよいか戸惑っているうちに、松田君は笑いもおさまったようだった。
「タイミングもばっちりだ。」
当然のように使用するつもりらしい。
おそらく、私がこんな展開を予想してこっそり服に忍ばせておいたと勘違いしているのだろう。
マズい。
ソレを使うのは、非常にマズい。
(そもそも久々すぎて、数秒前まで避妊について頭からすっぽり抜けてたけど!)
「あ、ま、松田君、それ、ダメ…」
「ん?どうしたんですか?」
「えっと、その、それ…」
私が慌てている間に、松田君はピリッと袋の口を破って、中からピンク色の物体を取り出した。
とにかく、今すぐ止めなくては。
そう思った私は、とにかく真実をそのまま口にした。
「それ、使っちゃダメ。……穴、開いてるから。」
「えっと、それはどういうこと?」
突然の告白に松田君は首を傾げる。
私はとにかく必死に説明を続けた。
「違うの、私じゃなくて由紀恵がっ、その、既成事実をって、悪ノリして…」
「つまりは、妊娠して僕に責任を取らせるつもりだったと?」
「違うの、私は本気で使うつもりなんてなくて。ほら、今日も松田君の…冗談だと思ってたし!! 」
だめだ。この状況で言っても、まるで説得力がない。
何しろ、お互いに気持ちが盛り上がったとはいえ、はっきりとベッドへと誘ったのは、私の方だ。