美人はツラいよ

別に田上さんとの約束がなくても、私にはほぼ毎日楽しい予定がある。
自分磨きの為に、英会話だって料理だって習っているし、美容院やネイルサロンの予約もある。
それに、今週は、決算で忙しくなる前にと詰め込んだ合コンもいくつかあった。

だけど、期待していたはずの合コンはすべて上手くいかなかった。
相手に何か不足があったという訳ではない。
むしろ、いつもより格好良くて好条件の人ばかりだった。
ただ、どれだけメイクを盛っても、きれいに髪を巻いても、新しい服で着飾っても、私の気持ちは一向に上がらなかった。

今週最後の合コンの帰り道、ぼんやりと歩きながら、私は何故か怒っていた。
この不調は、田上さんとの最後の食事の日からずっと続いている。
もやもやとした気持ちの原因を私は密かに考え続けているのだ。

こんな時こそ、田上さんに相談してすっきりしたいのに。
そう思ったら、今度は彼に対して無性に腹が立ってきたのだ。

よく考えたら、勝手すぎる。
急に好意を暴露して、一方的に関係を終わらせるなんて。
彼を勝手に“兄”認定していた自分を棚に上げて、私は彼に一言もの申さなければ気が済まなくなっていて。
気が付けば、夜の11時過ぎだというのに、彼の携帯にコールしていた。
< 64 / 79 >

この作品をシェア

pagetop