美人はツラいよ

『どうしてだろうね。美姫ちゃんの苦手なものやダメなところを知る度に、どんどん好きになっていったんだよ。』

あの日、彼が恥ずかしそうに打ち明けてくれたのは、意外すぎる事実だった。
最初は軽い気持ちで誘ったものの、そのうちに私がいろいろぶっちゃけ始めたのが、彼にはツボだったらしい。

『俺だけしか知らないと思うと、すごくドキドキする。』

変態としか思えない発言だが、それを聞いて私は心の底から安心した。
彼の前では、武装しなくても、自分を必要以上によく見せようとしなくても、いいのだと。
(だだ、部屋を片づける努力はしないといけないとは思っている)

そして、私もぶっちゃける相手は誰でもよかった訳じゃない。
自分でもどうしてかは分からないけれど、彼の前でだけは、いつも素直になれたのだ。

歩きながら触れ合った手に、すっと指を絡ませれば、彼が全てを見通したように、ぎゅっと私の手を握った。
もうすぐ会社の前だと言うのに、とんだバカップルぶりだ。

「亮二さん、私のこと好き?」
「うん、愛してるよ。」
「部屋が汚くても?」
「俺、掃除得意だから、ちょうどいいよ。」

会話も痛さ全開だ。
それでも、彼のストレートな言葉と手から伝わる温もりで単純な私の心は心地よく満たされていく。
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