エリート同期は意地悪がお好き
「いいよ、言いたくないなら」
「・・・」

・・・声が怒ってるような、呆れてるような、そんな声。

「だけど、一つだけ言わせて」
「・・・何よ」

そっぽを向いたまま、聞き返す。

「黒川の言ってる事は嘘八百だから。何も信じるな、聞く耳を持つな」
「…何で、そんなに強気でいられるの、司は?」

恐る恐る司の方を見る。

司は、フッと笑って、こう告げた。

「ん~・・・?…俺が俺だから?」
「…は?…司って、バカだったの?」

「…傷つくな、その言葉」

私の言葉に、司はそう言って辛そうな演技をする。

「…全然そんな事思ってないくせに」
「・・・ぁ?わかった?」

「もう、知らない」
「何も心配いらないって言ってるだろ?俺が朱莉を好きな限り、どんな事からも守るし、いつもこうやって傍にいる」

…黒幕の相手が専務だって知ってて、そんな事を言ってるんだろうか?

司も、私も、一社員に過ぎないのに・・・勝ち目なんてないのに。

「…司」
「ん~?」

「司のこと大好きだから・・・ずっと、どんな事があっても、傍にいてね」
「・・・ったりめえじゃん」

私の手をギュッと握りしめ、そう言って司は、最高の笑顔を見せた。
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