エリート同期は意地悪がお好き
司の答えを聞き、頷いた清水さんはそそくさとその場を後にした。

「…司」
「…ん?…あ、ごめん。オフィス行こうか?」

私の顔を見た司は、先程取り乱したのが嘘のように、柔らかな笑みを浮かべてそう言った。

「…司様って、何?」
「…ぁ、いや、別に」

…明らかに動揺している、司。…司は、私に何かを隠している。

「社長が倒れたって…今の人誰?」
「…社長秘書の清水さん」

「なんで、そんな大事な事を、司に言うの?」
「…」

私の言葉に、司は困惑顔。

「…最後に、親父って言ったし…社長は、司のお父さんなの?」
「…そうだよ」

少しの間を空けて、司が認めた。

「…司は、この会社の跡取りだったんだね」

…だから、いろんな事で、強気でいられた。

「…朱莉」

「なんで、そんなに大事なこと言わなかったの?…ダメだね、今、それどころじゃないのに…お父さんが、社長が、大変だって言うのに。…先に行くね」

複雑な気持ちのまま、私はオフィスに向かった
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