エリート同期は意地悪がお好き

司side

…さかのぼる事数時間前。

社長秘書の清水さんに、社長室に呼び出された。

「…急にお呼びたてしてすみません」
「…いや、電話では言いにくい事でも?」

笑顔で首を振った俺は、清水さんに問いかけた。

「…大変申し上げにくいのですが、社長の仕事に関しての事で」

その言葉に静かに頷く。

「…専務も不在の今、副社長である安部副社長にすら、疑いの目を社長は向けていて…秘書の私としては、社長の決済などは、副社長にお願いしたいのです」

「…社長が嫌がってるのか」

そう言って溜息をつくと、清水さんは苦笑いで頷いた。

「…社長は、司様。貴方に一任したいと申しております」
「…は⁈」

その言葉には、流石に驚いた。

「ちょっと待ってくださいよ。俺はまだ、営業部やその他の部署の仕事内容しか把握してません。決済なんか出来るほどの、経営のスキルはほぼ無い。俺なんかが、適当な決済して、会社に大損害を与えたらどうするんですか?」
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