エリート同期は意地悪がお好き
俺の言葉に、清水さんも頷いた。

「私も、社長にはそう申したのですが、病院から指示を出すし、私の助言なんかがあれば、失敗など犯さないと言い張ってまして…秘書業務や、社長の仕事を間近で見ていたので、ある程度は助言は可能ですが、大事な契約などは、なんとも」

そう言って、清水さんは大きな溜息をついた。

「…一度、社長に連絡してみます。少し社長室をお借りします」

俺の言葉に頷いた清水さんは、一礼して社長室を出て行った。

…それから、社長に電話をかけた。

…断ろうと思ったのに、結局、強引に話を押し進められ、引き受ける事になり、清水さんにも、社長から念押しされ、渋々承諾していた。

「…1年後には、司様が社長におなりになるなら、いい予行練習になりますね」

「…清水さん、なんだか楽しそうですね」

清水さんに向けて、嫌見事の一つを吐くと、清水さんは、ニッコリ笑って。

「…社長が、とても楽しみにしておいでなんですよ、司様が社長になるのを。あの堅物な社長が、…司をくれぐれも頼む。と、懇願されたら、断れないじゃ無いですか?」
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