エリート同期は意地悪がお好き
5.意地悪な彼だけど、好きだから・・・
あまりにも衝撃的な事件に、頭がパニックになりながら、心配してくれる久美に大丈夫だと告げ、営業部のオフィスに戻ると、張り紙を見た営業部の面々が部長に詰め寄って抗議していた。

「どう言う事ですか?!斎藤さんが急に異動なんて」
・・・先輩。

「営業の事務をすべて補ってくれていたのは斎藤さんですよ?誰が事務行をするって言うんですか?」
・・・そんな事を思ってくれてたんだ。…私がしていた事は無駄じゃなかった。


「営業の紅一点の斎藤さんを移動するなんてあんまりですよ。オフィス内に華が無くなります」

・・・紅一点じゃないんだけどな。

「納得いく説明をお願いします」

…司。…司も、あの張り紙見たんだ。


「私も!」

私の一声に、皆が一斉にこちらを見た。

「何で急に、人事部に異動なのか、理解できません。納得いく説明をお願いします、部長。…私、何か、ミスをしましたか?」

…言ってて、なんだかすごく、悲しくなってきて、目がウルウルとしてくる。


「斎藤さん…君、こっちに来なさい。他の奴らはさっさと仕事をしろ!上司命令だ!言う事聞かない奴らも、異動にしてもらうぞ」

部長の一声に、皆が静まり返る。…それを見届けた部長は、私を会議室に行くよう促した。

…今までしてきたことがすべて無になってしまったような虚しさ。

…会議室に入った途端、涙がこぼれ落ちた。
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