エリート同期は意地悪がお好き
「人事部でも、朱莉ならやっていける」
「…うん」

「…営業の奴らは、みんな朱莉の味方だから、なんかあったらいつでも言えよ。まぁ、苛められたら、俺が黙ってないけど」

「…なんか怖いよ、司」

泣きながら、笑う。

「…本気だよ。朱莉は俺が守るから、お前は何にも心配しないで、仕事にだけ集中してろ」

「…ありがとう」

そう言って、司を見上げると、司は私の涙を優しく拭って、優しく、優しくキスをした。

…異動の理由は分からない。

でも、どんなところでも、司がいると思うと、大丈夫だって思える。

「…司…大好き」
「…知ってる」

「…司は?」
「…俺は…朱莉を…愛してる」

その言葉があれば、私は大丈夫。

そう思えたはずなのに。
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