エリート同期は意地悪がお好き
異動になってから、司とはほとんど顔を合わせない。営業で外回りが多い。

お互い、残業も多く、一緒にいる時間も少なくなる。

寂しく思うけど、司に我が儘が言える筈もなく。

…今日も残業で、帰宅したのは午後9時。

…あれ?玄関のドア開けると、リビングから明かりが漏れている。

この家のカードキーは一つしか無いって司が言っていた。

私は恐る恐る中に入る。…司の革靴。
司、どうやって中に入ったんだろう。

リビングに足を踏み入れた瞬間。

パンパン!

突然のクラッカー音。

私は驚き固まる。

「…誕生日おめでとう、朱莉」

ひょこっと顔を出した司が、私に一言言った。

「…忘れてた」

驚いた顔のまま、ポツリと呟いた。

私の顔を見た司は、可笑しそうに笑っている。

「…そんなに驚いた?」
「…お、驚くに決まってんじゃない!」

私は顔を赤くして、司を叩く。

驚いたけど、凄く嬉しいサプライズ。

「…朱莉」

叩く私の手を司は優しく握りしめた。

…そして、左の薬指に、可愛いピンクダイヤのついた、指輪をはめて、優しく微笑んだ。

…カッコ良すぎたよ。司。
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