『短編』恋する街角
『いい奴だな。』
彼がわたしの後ろに立ち、わたしに言った。
『うん。本当…。わたしはなんて、幸せ者なんだろう…。』
野口くんが乗った電車に手を降りながら、わたしは一人言のように呟いた。
『1番の幸せ者は、俺だな。』
『え?』
彼は小さくそう言って、わたしの手を握って来た。
『実は俺も、きみの事好きだったんだ。』
そう言った唇が、またわたしの唇に軽く触れた。
『とりあえず、どこか行く?』
少し照れた彼は言う。
わたしは笑顔で答えた。
『ショッピングモール…あの恋人達の街へ!』
・