それは危険なラブミッション

親しいわけじゃない。
友達とも違う。
最初から呼び捨て宣言されてしまったのだ。


「――って、ごめん、僕、何言ってるんだろう。気を悪くさせちゃったよね」


岬さんは、自分の髪の毛をクシャっと掻き上げた。


「私の亡くなった両親が、東城寺ホテルの先代にお世話になっていて、それで……」

「莉夏さんのご両親、亡くなってるの?」

「はい、2年前に」

「そうだったんだ。……ごめん、変なこと言って困らせて」


困っているのは岬さんの方みたいだ。
横顔からでも、岬さんの眉尻が下がったのは分かった。


「いえ、大丈夫です」

「でも、まさか莉夏さんと東城寺ルイが知り合いだとは思ってもみなかったよ」


素直な感想だと思う。
岬さんにしろ、ルイにしろ、私とは住む世界の違う人。
私とルイに接点があるとは考えも及ばなくて当然だ。

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