それは危険なラブミッション

「彼は、どういう企業を選ぶんだろう」


岬さんの言葉に首を傾げる。


「彼のことだ。きっとホテルをもっと大きくするために政略結婚を考えているだろう。一度ナンバーワンの座を獲ると、貪欲になるはずだからね」


それが、ルイに課せられた養子への恩返し。

どうしてだろう。
ルイ本人から聞いていたことなのに、政略結婚に寂しさを感じるのは。
第三者から改めて聞かされたせいか、やけに真実味を感じさせる。


「……どうして今の話を私に?」


何の脈絡もない気がしてならない。
わざわざ聞かせたようにすら感じてしまう。


「どうしてだろうね」


岬さんが悲しげに笑う。


「莉夏さんの心を揺さぶりたかったのかな。彼に惹かれているようだったから」

「――惹かれてなんて!」


慌てて否定する。

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