それは危険なラブミッション

「二人とも、何を期待してるの?」


腕を組んで、ちょっと釘を刺すように言うと


「違いますって!」


達哉くんも麻緒ちゃんも、両手を胸の前で小刻みに振るという全く同じ仕草で否定する。


「そう?」

「本当ですって。な? 麻緒」

「うん。ただ、どっちが莉夏さんの彼氏か、達哉と賭けて――って、あ!」


そこまで白状してしまってから、麻緒ちゃんは大慌てで口元を覆った。

二人とも、私で賭けをしていたらしい。
つい口を滑らせてしまった麻緒ちゃんが、「すみません」と何度も謝る。


「ったく、麻緒はそそっかしいなぁ」


そうたしなめるけれど、達哉くんだって同罪だ。
けれど、そんなことで怒るつもりも責めるつもりもない。

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