それは危険なラブミッション

「ところで、あれから岬さんとは?」


夕菜と会うのは、ラーメン屋で岬さんと鉢合わせしたとき以来。
私の正体がばれたのは自分のせいだと思っている夕菜は、不安そうな目で私を見つめた。
首を横に振る私に、「そっか」と言って大きなため息を吐く。

会うには会ったけれど、騙した騙さないという問題を通り越してしまった気がする。


「それじゃ、2千万円の借金帳消し作戦はダメになっちゃったんだよね……」

「ダメに……?」


肝心なことを忘れていた私は、色ボケ女だ。
ルイとの急激に発展した関係に目が眩んで、そのことがすっかり頭から抜けていた。

作戦は、岬さんにばれてしまったことで失敗に終わった。
それが功を奏してというべきかどうかは置いておき、その失敗が岬さんに破談を決意させた。
ということは、ルイの出した条件はクリアしたことになるんだろうか……?

岬さんにばれていようがいまいが、どちらにしても後味が悪い。
晴れて借金帳消しで万々歳という、最初に描いていた構図とは、全く違うものになっていた。

< 302 / 368 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop