それは危険なラブミッション

人の気持ちを弄ぶような真似をしたことが、今になって身に染みる。
しかも、債権者であるルイのことを好きになってしまうなんて。
想定外もいいところだった。


「莉夏? どうかしたの?」

「あ、うん……」

「ここ数日のうちに何かあったの?」


歯切れの悪い私の隣に夕菜が腰を下ろす。
繁忙期だというのにいつものようにマスターの叱責が飛んでこないということは、さっきの夕菜の一言からまだ立ち直れていないのかもしれない。
それを逆手にとってか、夕菜は仕事中にも関わらず、私の話を聞く態勢に入ってしまった。

マスターに申し訳ないと思いつつも、私も夕菜に話を聞いてもらいたい。
心の中でマスターに謝りながら、ポツリポツリと話し始めた。


「実はね……」


バリ島にルイが来たことから始まり、岬さんが空港に出迎えに来たこと、ルイとの関係が激変したことを順を追って話していく。
一番驚くだろうと思っていたルイと私のことに、夕菜は「やっぱりね」と頷いただけだった。

< 303 / 368 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop