遥か~新選組桜華伝~


「はい。山崎さんに頼まれたお遣いに行くところです」


さっき山崎さんから渡された紙を見せた。


「丁度いい。出かけるついでに、川沿いの神社の桜の枝を取ってきてくれないか?」


「桜ですか?何に使うんです?」


沖田さんが問うと、近藤さんは微笑みながら外を見つめた。


「屯所に飾るんだよ。
忙しい隊士にも花見の気分を味わってほしくてな」


「いい考えですね。わかりました、一番きれいな枝を取ってきます」


沖田さんがニコリと頷く。


「助かるよ」


と近藤さんは目を細め、


「せっかく川まで行くんだ。ついでに花見もしてきていいからな」


ハハハと冗談っぽく付け足した。


お花見?


予想外の言葉に、私と沖田さんは顔を見合わせた。


そのとき。


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