遥か~新選組桜華伝~
「土方さんらしいですね」
素っ気無い振りして、誰より隊士のことを考えてる。
わかりづらいんだよ……。
土方さんの優しさは。
「了解しました。届けてきます」
近藤さんに一礼すると、私は枝を手に、副長室へ向かった。
中庭の見える縁側を、小走りしていると。
「よお」
「土方さん……!」
澄ました顔で見下ろしてくる、土方さんがいた。
「おまえ、そんなに急いでどうしたんだ」
そう言いながらも、視線は桜の枝に注がれていて、口元を少しだけ緩ませている。
わかってるくせに……。
ほんと素直じゃないんだから……。
「桜の枝を届けにきました」
土方さんは枝を手に取ると、顔の前で花びらを見つめる。
「ありがとな。
玄関にでも飾っておくよ」
そう言って、私の横を通り越していく。