遥か~新選組桜華伝~

六 池田屋事件









それから2ヶ月後。


元治元年(1864年)6月。


緑の木々を爽やかな風が揺らす、初夏の日。


いつも通りの穏やかな今日、新選組の歴史で最も有名なあの事件が起こるなんて。


この時の私は夢にも思っていなかったんだ。


昼下がりの中庭にて……。


「遥さん」


素振りをしていたところを、後ろから声をかけられた。


「沖田さん?」


「ちょっとこちらへ来てくれませんか?」


ニコニコと満面の笑みで、寝室のある屋敷を指さしている。


沖田さんが笑っているのはいつものこと。


だけど今日は一段と楽しそうで……。


どうしたんだろう?


「わかりました」


首を傾けながら、沖田さんの後に続いて屋敷に入ると……


永倉さん、原田さん、斎藤さん、藤堂くんが奥の部屋で待ち構えていた。


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