遥か~新選組桜華伝~
「良かったです。
でも、そんな薄着じゃ風邪ひきますよ?」
近づいて、沖田さんの着物の袖を掴んだ。
もう秋になってずいぶん経つというのに、沖田さんはいまだに夏用の着物を着ている。
「そうですか?」
キョトンとした顔をする沖田さん。
「そうですよ!」
「それなら、遥さんだって薄着じゃないですか。
仕方ないから僕の羽織を貸してあげますよ」
「私の着物はこれでも秋物……ひゃ!」
沖田さんは縁側に置いていた浅葱色の羽織を取って、私の肩にかけた。
首に衣が擦れて、ほんのちょっとくすぐったい。
「よく似合ってますね」
クスリと笑いながら、そう言った。
「も、もう……!」
元気なのも、私を気遣ってくれるのもうれしい。