忘 恋


私のクラスに
可愛い、小さい生徒達が
入園してきた。

先輩の先生や主任の先生に
相談しながら、毎日を
送っていた。

そんな元気なみんなの中で、
一人、大人しい子がいた。
高野 翔君。
高野と言えば、留衣と同じ名字だが
留衣の子供とは、限らない。
だって、翔君は儚げで物静かだから。

「翔君、皆と遊ばないの?」
「うん。」
「なんで、楽しいよ」
「僕、どうやって、
皆と遊ぶのかわからないの。」
「翔君、お友達と遊んだことないの?」
「うん。」
「じゃ、先生も一緒に行くから
一緒に遊ぼう。」
と、一緒に行き
みんなと交じって遊んだ。

翔君は、とても楽しそうに
遊んでいた。

翔君は、早いときは、年配の女性が、
迎えにきて

遅いときは、若い女性が迎えにくる。
若い女性のことを、翔君は、
心咲ちゃんと呼んでいた。

「雫先生、また明日ね。
さよなら。」
「翔君、また、明日ね。」
と、二人で、挨拶をして

私は、翔君を迎えにきた、
心咲さんに、頭を下げた。

心咲さんも、頭下げて
「ありがとうございました。」
と、言って帰って行った。
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