忘 恋
七章  お前は、俺の。

私は、翔君の見送りをして
帰るつもりでいたから
玄関に行くと‥‥‥‥‥純?
「なんで、雫がここに?」
「えっ、純?」
「雫先生、行ってきます。
        後できてね。」と、翔君。
「うん、後でね。」と、私。

翔君と家政婦さんが、出ていくと、
中から、留衣が
「雫!!しずく!!」と、呼ぶから
純の顔見ながら、
「ここよ。翔君見送り。」
「お前、勝手にいなくなるなよ。
心配するだろうが。」
と、玄関にきた。

「あっ、西野、何かあったか?」
と、さっき、雫を呼んでた声とは、
180度、違う声で。

「なぜ、副社長が、
雫を知っているのですか?」
「はあ?なんで、西野が、
雫を呼び捨てにしてるんだ?」
「私が、質問してますが‥
まあ、いいや、雫は、俺の彼女です。」
「なに?雫、本当か?」
「彼氏かな?友達みたいな。」
「彼氏がいるのに、俺の所にきたのか?
俺をおちょくって、楽しかったか?
あの時の仕返しか?」

「なに、言ってるの?留衣。
あなたが、倒れたからじゃない。
純は、あなたにこっぴどく
捨てられて、入院したときから
ずっと、芹香と二人で
私を支えてくれたの。

ボロボロだった私をね。
じゃ、私、帰るから。

あなたの車は、幼稚園の駐車場に
置いたままですから、引き取りに
来てくださいね。

それと純、ちゃんと私のメールに
返事しなさいよ。
じゃーね。」
と、言って荷物を持ち
出ていった。

留衣から、名前を呼ばれたが
振り返ることはなかった。

純は、あの時の雫の想い人は
副社長だったのだとわかった。

純は、留衣に書類だけを渡し、
「ゆっくり休んでください。」
と、言って帰った。
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