忘 恋

純‥‥サイド

副社長のあんな優しい声を聞いたこと
なかった。

政略結婚をさせられて
奥さんは、でていった、と聞いた。

あれだけ、冷酷で冷淡なら
誰しも、逃げ出すのは伺える。

雫が、まだ、副社長を好きなのも
わかった、でも、俺だって
ずっと、好きだったんだ。

やっと、やっとこさ、
彼女になってくれた。
お試しだけど·····
ここずっと、彼女を外してほしいと
メールきてたけど。

簡単に、わかった。と言えずに
返事が、できないままだった。
やはり、俺では、ダメなのか?

俺は、会社に戻り仕事をしていたら
副社長の友人の要さんがきて、
「留衣は?」
「風邪を引かれて、休まれてます。」
「えっ、風邪?あいつ、薬が飲めないから
長引くんだよな。雫ちゃんが居たらな。」 
と、呟くから
「いましたよ。
   副社長の部屋に
‥‥‥‥‥‥‥‥‥雫は。」

「えっ、そうなの、それなら安心
てか、へえ、なんで、西野君が雫ちゃんを
知ってるの?てか、呼び捨て?‥」

俺は、経緯を話した。

「そうなんだ、でもさ
留衣は、雫ちゃん命だからね。
雫ちゃん以外に、優しくするつもりはないんだ
それに、社員とその家族を守るために
あいつ、心を捨てて、政略結婚をしたんだ。
心は、雫ちゃんに捧げてね。

西野君には、悪いけど
雫ちゃんから、身を引いて。
まぁ、雫ちゃんが決めることだけど。」
と、言われて
「わかっています。
雫からも、名前だけの彼女で
いつまでも悪いから
取り消して欲しいと
言われていますので
そうします。
副社長には、勝てそうにありませんから。」
と、言った。

要さんは、
「ありがとう。そして、ごめんね。
西野君も、本気だったんだよね」
と、言われた。
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