忘 恋

< コンコン >‥‥‥ノック。
社長秘書が、ドアを開けてくれた。

「社長、副社長が、お見えです。」
「なんだ?留衣。」
「お人払いを。」
「ああ、青木 でとけ、
用事がすんだら、呼ぶ。」
「かしこまりました。」

「で、なんだ?」
「ああ、俺、再婚するから
今度は、親父のいいなりには。
ならないからな。」
「どこの、会社の娘だ?」
「あんたが、俺から引き裂いた雫だ。
俺は、あいつ以外は、愛さない。」

「また、血迷ったことを。
いっかいの高校教師の娘なんぞ。」

「関係ねえ、政略結婚をしないと、
傾くような会社にした
つもりはない。」

「いいのか、社員を路頭に
迷わせても!」

「俺は、今まで頑張って
簡単には、倒れないよう
ここまでした
それで、傾くなら、それだけの社員だろ

それでも、あんたが、
俺と雫の間を邪魔するなら
俺は、高野を捨てる。」

「はぁ‥あの‥‥な‥‥」
と、親父が何か言おうとしたら‥‥

「留衣、お父さんの言うこと
なんて、聞く必要ないわよ。」

「母さん」と、俺
「お前」と、親父

「あなた、これ以上
留衣に悪さすれば、
私にも考えがありますよ。
前の元木さんとの
結婚だって、留衣が望んでると
言ったから、賛成したのに
あなたが、脅したらしいじゃない。
お祖父様に言いますよ。」
と、お袋が怒りながら言うと

「わかった。わかったから
親父に言わないで。
留衣、誰とでも、結婚しろ、許す。」
と、慌てて言う親父に

「本当に、いいんだな。
雫や雫の親に何かしたら
ただじゃすまないからな。」
と、念を押す

「ああ、なにもしない。」
と、言った親父に

お袋が、
「留衣、明日の夜
その、雫さんを家に連れてきなさい。」
と、言うから

「ああ、わかった。
    ありがとう、母さん。」

「心咲にも頼まれたからね。
それに留衣は、私の大事な息子よ。
じゃ、明日ね。
貴方には、話がありますから
ここに、お座りなさい。」
と、床を指差すお袋に

「はい。」
と、返事をして座る親父。
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