忘 恋
三章  罵倒と別れ

俺と雫は、お互いを大切にし
愛しあっていた。

そんな付き合いも、一年を過ぎるとき
親父に呼ばれた。

「お前と元木家の娘との結婚が
決まった。三ヶ月後だ。
いいな、今いる女は、切っとけ。
わかったな。」
「はあ、嫌だ。
俺は、雫と結婚する。
あんたに強制されない。」

「俺から、離れてお前に何ができる?
お前は、俺の言う通りにしたら
いいんだよ。
高校の教師の娘なんかでは、
お前の役には、立たない。
それに、元木家とは、話はついてる。
三日後には、報道もでる。
それまでには、綺麗にしとけ。
いいな、留衣。
お前は、何千といる社員と
その家族を路頭に迷わすのか?」
と、言いすて‥でて行った。

「くそっ、なんで‥‥‥‥
   なんで‥‥雫‥雫‥‥。」
と、俺の頬には涙が流れた。

俺は、要を呼び出し
飲みに出掛けた。

俺が、荒れて飲むのを
要は、心配そうに見ていた。

俺は、要に全部話した。
「嘘だろ?なんとか出来ないのか?
お前、あんなに雫ちゃんを。」
「どうにもならない。
俺には、何千もの社員とその家族を
守る義務がある。
くそっ!!」
朝まで、飲みあかした。

俺は、
「この話は、雫には、するな」
と、要に言った。

要は、俺を裏切らない。
あいつも、俺の立場は、
理解しているから。
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