焦れ甘な恋が始まりました
涙で濡れた瞳で下條さんを見上げれば、そこには困ったような表情で私を見つめる下條さんがいて。
ついひたすらに、そんな彼の綺麗な瞳を声も忘れて見つめてしまった。
……どうして?
どうして、そんな表情(かお)をしてるんですか、下條さん。
どうしてそんな風に、何かを堪えているような――――苦しそうな。
そんな切ない表情をしているのか、私には皆目検討もつかなくて。
「……日下部さんのことを、困らせたい訳じゃないんだ」
「下條……さん……?」
「でも……俺だって、ずっと見てた。いつも周りの事ばかり気にして、どんなことにも直向きに取り組む、日下部さんのこと。誰よりも人の為になりたいって、そう思いながら仕事をしてる日下部さんのこと――――俺は、ずっと、」
「―――っ、!?」