焦れ甘な恋が始まりました
な、なんで、今のタイミングでティッシュの箱を……?
「今のは、不可抗力だから気にしないで?」
「なんですか、それ!?」
「だって、これ以上、ライバルが増えたら俺は公私混同からくる業務命令で、更なる強行手段を取りたくなるから」
「は、はぁ……?」
「……それはさすがに、私も困りますね」
「?」
クスリ、と。
やっぱり、小さく笑った立石さんだけが、社長の言葉の意味を理解している様子だった。
「まぁ、とにもかくにも。日下部さんの案に、乗ってみよう」
「え?」
「オープン前から “ おもてなしの心 ” をお届けする。それが、VENUSの最高の宣伝になると代表取締役社長の俺が、判断したから」
「っ、」