焦れ甘な恋が始まりました
 


下條、さん……?


突然、大きな溜め息を吐き出して。

何故か “ 考える人 ” のようなポーズで俯いた社長を見て、私の頭の周りに浮かぶ大量のクエスチョンマーク。



「……今の、“ 大好き ” は、尊敬とかそういう意味のアレで、俺が期待してるソレとは違うから、とりあえず、そうじゃなくて、うん…………」



そうして社長は、しばらく何かを考え込むように独り言を零していたと思ったら、再び目の前の湯呑みに手を伸ばした。


……と。



「……わっ、日下部さん、見て、コレ!」

「え、なんですか?」

「茶柱、立ってる!」

「えっ!茶柱!?」



思わず社長の座るソファーまで駆け寄って、言われるがまま湯呑みの中を覗き込めば、ちょこん、と可愛らしく立った茶柱が、ぷかぷかと浮かんでいた。



「わぁ……このタイミングで茶柱なんて……幸先良いですよね。すごく良いことが、あるのかも」


「良いこと、か。……うん、そうだよな。きっと、良いことがあるに違いない。良いことが、きっと…………」


「?」


「イイコト、ね。……うん。とりあえず――――たった今、目の前に、見つけた」


「っ!?」


 
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