焦れ甘な恋が始まりました
「……そっか」
だけど、私の言葉に返された言葉は酷く短く……そして、まるで溜め息のように小さな声だった。
思わず俯いていた顔を上げれば、視線の先の社長は夜に染まった海を真っ直ぐに見つめていて。
その、どこか遠くを見る横顔に目を奪われていれば、再び唐突に、思いもよらない言葉が投げられた。
「…………話しっていうのは、仕事のこと」
「仕事の、こと?」
「そう。……日下部さん、企画部で仕事をしてみる気はない?」
「え……、」
酷く静かな夜の海で紡がれるソレは、夢か現実か。
何も心の準備ができていなかった私は、ただ流れる時間に身を任せることしかできない。