焦れ甘な恋が始まりました
……一瞬。
何を言われているのか、わからなくて。
さっきまで泣きそうになっていたはずなのに、それさえも忘れてしまうくらい、ただ呆然とするしかなかった。
……私が、社長のことを嫌いになる?
確かに今、一瞬、嫌いになってしまうというより、呆れてしまったのは事実だけれど。
でも、それは別に、しがない一社員である私に、社長である下條さんが、そんなに必死になってまで謝る必要もないことだ。
私は、社長にそこまで言ってもらえるような価値のある人間ではない。
「あ、あの……私にそんな、謝らないでください」
「でも、本当に悪かったと思ってるから」
「それはその……はい。もう、わかりましたから。私の方こそ、社長に対して失礼な言動と態度を取ってしまって、申し訳ありませんでした……」