焦れ甘な恋が始まりました
……一体。私は、何がどうなってしまうのだろう。
社長の意味不明な行動に半ば呆然としていれば、危機一髪。
先程待っていたエレベーターから降りてきた役員の一人が、反対側に停まっている車の方へと歩いて行くのが見えた。
その光景を目で追いつつも、ふと視線を感じて隣に目を移せば、そこにはやっぱり直向きに――――
私へと、どこか縋るような目を向けている社長の綺麗なブラウンの瞳と目が合って。
「……日下部さんの、言うとおりだよ」
「え?」
「馬鹿みたいに嫉妬して、勝手に苛ついて……良く知りもしない相手のことを憶測で悪く言って、八つ当たりまでして……本当に悪かった」
「社長……?」
「俺は日下部さんの相手のことを悪く言える立場にいないし、そんな資格すらなかったのに」
「あ、あの……」
「だから……今更、俺にこんなこと言う権利はないけど……」
「……、」
「頼むから……俺のこと、嫌いにならないで」
「っ!」