青空の魔法
大月光。

オレの1コ上で、常に学年トップを突っ走ってきた人。

かと言って、他の先輩みたいにギラギラしてないし、シニカルでもない。

いつも静かで優しげで、淡々と努力している雰囲気が、オレは好きだった。


実は入学以来、オレは密かに彼を目標にしている。

自習室にラストまで残るようになったのも、日曜に自主登校するようになったのも、大月さんの影響だった。

耳にする噂話で、彼が学年トップだと知り、とにかく何でも真似てみようと思ったんだ。

実際、大月さんの勉強量はすごいんだぜ。

彼を見ていると『努力は人を裏切らない』という言葉を信じられたし、自分もそれを信じてここまで来れた。



「ね、キミ?」

自習室を後にしてゲタ箱に向かっていると、背後から声をかけられた。

振り向くと、大月さんが立っている。

勝手に尊敬はしていたけれど、実際に言葉を交わすのは、これが初めてのことだった。
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