僕は介護職になりました。
 僕の母親は今の介護保険法ができる前から訪問介護をやっていた。夜勤があったり、朝が早かったりと、不規則に働いていた。給料を聞いた事があったが、40万くらい貰っているとの事だった。

 同じ家に住んでいるのに一週間、顔を合わせない時もあった。

 たまに顔を合わせると、行っている家のお爺ちゃんが夜中、壁に自分の便を塗りたくって大変だった。なんて話しを教えてくれたが、その時に僕は絶対そんな仕事したくないと心から思った。


 2000年、介護保険ができた。その当時、僕は10代後半でアルバイトしたお金で友人と車に乗って遊び歩いていた。

 ある日の夜、家に帰ると母親が教科書のような本を持って、漢字の読み方を教えてくれと聞いてきた。

 僕は教えながら、何の勉強をしているのか聞くと、「介護保険というものが出来たから、ヘルパーという資格を取らなければいけない。給料も下がるみたいだ。」と教えてくれた。

 あまり興味が無かった。ただ、そんなうんちやオシッコの片付けしてんのに給料下がるなんて、最悪の仕事だなって思っていた。



 2015年、日本の4人に1人が高齢者となり、高齢者介護は社会問題として大きく取り上げられている。その為、志を持った10代、20代前半の若者がこの業界へ入ってくる。

 反面、働き口がないから仕方なくこの業界へ入ってくる若者や中年も多い。

 僕は志をもって介護業界へ入ってくる若い世代は凄いと思う。僕が同じ年の頃、この介護業界へ入る事等、夢にも思わなかったし、絶対に嫌だった。
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