sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
「……お父さんが今でも怒っていることわかってる。でも、私はお父さんの娘だよ!?関係ないとか、私のいる場所はここじゃないとか、そんなこと言わないでっ!!」
こんな娘でごめんなさい。
お父さんの気持ち何も考えずにごめんなさい。
でも、私は……お父さんの娘だよ。
負けじとお父さんの目を見つめ返していると、
────バシンッ
「お父さんっ!?梢に何して…!?」
お母さんの悲痛な声が居間に響く。
一瞬何が起こったのかわからなくて。
左頬がヒリヒリと痛む。
私はそっと頬に手を当てた。
「……とんだ親不孝者めっ!タイミングの悪い時に帰って来やがって…!あのまま連れて行かれたらどうしてたつもりだ!?」
お父さんは俯いたまま身体を震わせていた。
「翔太だけに苦労させるなんて出来ない…っ!私だって娘だよ!?私に出来ることで鉄工所が守れるなら……」
「守るだと?自分の身も守れない奴が何を言う!?………もうこれ以上何も言わん、さっさと帰れ。」
お父さんはそう言い残し、居間を出て行ってしまった。
左頬だけがジンジンと痛んで消えない。