14年目の永遠の誓い

「うん。……ただいま」



オレは両手でハルの手を包み込んだ。
相変わらずに、ひんやりと冷たい手。細すぎる腕。

包み込むオレの手を、ハルが握り返してくれるのをかすかに感じた。

ごめんね、ハル、側にいられなくて。

オレ、何にも知らないで、のんきにメール送ってたよ。

本当にごめんね。

この3日間の自分に蹴りを入れたい気分だった。



「……カ、ナ」

「ん?」

「すぐ、……げん…きに、なる……から」



ハルはオレが落ち込んでいるのを分かってる。

ダメだ。

オレが気を遣われてどうする!?



「……ね、ハル、いっぱい笑える土産話あるよ? お土産も色々買ってきたよ」



オレがそう言うと、ハルはまたかすかにほほ笑んだ。



「早く元気になって、話聞いて? 土産も受け取ってね」

「……ん」



ハルはしんどそうで、それ以上話すこともなく、オレはただハルの手を握り続けた。

早く楽になるようにと、少しでも楽になるようにと、そう願いながら。



「叶太、ごめん。ちょっと不整脈が出てるから、悪いけど、ここまでにして」



気が付くと、後ろに裕也さんが立っていて、オレの肩に手を置いた。



「陽菜ちゃん、点滴、ひとつ増やすね」



はい、とハルは声を出さずに口を小さく動かした。



「ハル、また明日来るね」



オレはハルの髪をそっとなでると、後ろ髪を引かれまくりながら、ICUを後にした。



そうして、オレは決意を新たにした。



ハルに何かあった時に、絶対に、何があっても一番に連絡をもらえる地位についてやる、と。

いつでもどんな時でも、何よりもハルを一番に優先しても、誰にも文句を言われない地位についてやる、と。

< 78 / 228 >

この作品をシェア

pagetop