キスは目覚めの5秒後に
「は?契約って?」
それって、まさか体の?
そうだ、橘さんも男なのだ。
お金を貸す代わりに抱かれろってこと?
親切だと思っていたけれど、男ってやっぱり最低だ。
私をじっと見ている彼は微笑んでいて、それが妙に色っぽくて、どうする?と視線で訊かれている気がした。
このまま私が宿泊してるホテルの部屋まで一緒に来るのだろうか。
確かに、彼には恩がある。
けれど・・・。
「あ、あの、それは・・・」
「ああ腹減ったな。食事しながら説明しよう。返事はそれからでいい」
戸惑う私をよそにして、彼はレストランの名をタクシーの運転手に告げた。