幼なじみの罪ほろぼしと恋心
……正直信じられない。

あの大樹が私を好きだなんて。しかもあんな……熱烈な発言をするなんて。


昨夜のことを思い出してぼんやりとしていると、お母さんの小言の続きが聞こえて来た。


「大樹君にちゃんとお礼言うのよ? あんたがフラフラしてるからわざわざ送って来てくれたんだからね」

「送ってくれたって……隣なんだしただの通り道だし」


ボソッと呟くと、それを聞き逃さなかったお母さんに早口にまくし立てられる。


「どうしてそんなに大樹君に対して横暴な態度ばっかり取るの? 大樹君は優しくて礼儀正しくていつも気持ちよい挨拶をしれくれる凄くいい子よ。花乃はそんな大樹君に対して……」


いつもだけどお母さんの小言は終わりがない。

何かのストレス解消?って思ってしまうくらいだ。


「分かった、ちゃんとお礼言うから」


不満はあるけど、二日酔いで絶不調の今日、喧嘩する気力は無い。


二階の自分の部屋へ退散するべくキッチンを出る。


「口だけじゃなくってちゃんとするのよ!」

背中にキンキンした声が追いかけて来る。

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