幼なじみの罪ほろぼしと恋心
「大樹、仕事行かなくちゃ!」


そうだ、私頭が回らなかったけど、私のせいで大樹まで遅刻になっちゃったんだ!

焦る私とはうらはらに大樹は落ち着き払って言う。


「行くよ。花乃を家まで送った後にね」

「私は大丈夫だよ。もう大分良くなったから一人で帰れる」


だから早く仕事に行かないと。
だけど大樹は即刻否定して来た。

「だめ」

「な、何で?」

「一人でなんて帰せない。途中でまた具合悪くなったらどうするの?」

「大丈夫だよ?」

「もう会社に連絡したから慌てなくていいんだよ。俺今日は半休」


大樹はサラリと言い、タクシー乗り場に行く為、私の身体を支えてそっと立たせた。

途端にフラリと眩暈がする。


「ほら、俺がいないと駄目じゃん」


大樹は優しく笑ってそう言いながら、私の身体を支える手に力を込めた。


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