ブラック-SS-
「帰るぞ」
彼は私がジュースを受け取ったのを確認すると
隣で美味しそうにリンゴジュースを口に運ぶ彼女の肩を抱く。
「え、帰るの?レイジ授業は?」
きっとこの学校の女の子で唯一彼をレイジと呼ぶ彼女の声に、彼は自然と優しく見つめ返す
「お前一人で帰れねェだろうが」
強い口調なのに、それはどこか優しげで、とても絵になる二人だと思った。
綺麗な彼と、素直で可愛らしい彼女。
彼はそのまま彼女の肩を押しながら歩き出すと、もう2度とこっちを見ることなく保健室を後にした。
「私も帰ろう」
小さな私の声だけが響いて消える。