ブラック-SS-



「これはあんたの」




ただただ二人をジッと見つめていた私に


再び彼の瞳が私を映す。





私の存在なんて忘れていたと思っていたのに、たしかにその瞳は私を捉えていて




彼は私に向かってジュースを差し出してきた。




「起こして悪かったな」




それはきっと、彼女の寝ているベットだと間違えてさっきカーテンを開けてしまった事に対してのお詫びらしい。




「………あ、ありがとう」




私は彼の持っているジュースに向かって
震える手を伸ばした。




彼の瞳に写っているだけでも奇跡なのに、彼に話し彼られて



そしてジュースまでもらうなんて…




まるでそのジュースを受け取るまでの間、これは夢なんじゃないかとさえ思った。



ただ一つ

「あんた」と言われた事に少しだけショックを受けた。




周りに何にも興味のない彼が私の名前を知らないことくらい分かってた。

もしかしたら私がクラスメートって事も気がついていないかもしれない。





だけど、彼の視界に入れただけで私にとってはあり得ないくらいの奇跡なのに
何だか少し傷付いている自分が滑稽で笑えた


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