危険な愛を抱きしめて
 どんっ!

 がたがたががたっ!

 風ノ塚が、ケーキ屋の華奢なテーブルセットの上に落ちた。

 そして、運悪く。

 落ちた先にあったグラスで、顔を切り、その思いのほか、だくだく流れる血を見て、由香里が悲鳴を上げた。

「風ノ塚さんっ!」

 大好きなヒトのけがを見て、由香里は、めちゃくちゃ動揺した。

 いつもは簡単にすり抜ける男の手を振りほどくこともできず。

 必殺の拳は、空を切る。

「な、何してんのよっ!
 由香里以外、誰も傷をつけないって約束だったのに!」

 驚いたようなアヤネの声に、男は唾を吐いた。

「るせえ。成り行きだよ!
 見れば、判るだろうが、莫迦!」

「でもっ!」

「ガタガタぬかすな!
 ガキのくせに、俺らに指図できると思うなよ!
 九条アヤネ、サンよ。
 てめー自身だって、ある筋からは、拉致って来いっていう依頼だってあるんだ!
 面倒くさいこというと、そっちに売るぞ、コラ!」
 
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